エッセイ

MLB まつりのあとで

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MLB30球場を訪れて試合を観たので、どこがよかったかとよく聞かれる。

球場も試合も日によって違うし、誰と行ったか1人で行ったかによって楽しみ方は違うので、一概に言えないと言いたいところだけれど、それでは興ざめ感があると思うので、独断と偏見に満ちたおすすめをいくつか。

Coors field

僕は街中から歩いていける球場が好きだ。特にデンバーは旧駅舎をリノベしたレストランや山々に囲まれた街並みが美しい。この球場は標高の高さから打球がよく飛んで、観ていて驚かされた。そういう物理科学的な要素を感じされるのもプラス。 何より、東海岸に住む身として、なかなか行かないエリアなのでレア度が高い。 そして僕はチームカラーの紫が好きだ。

Wrigley field

緑の蔦が絡む外野フェンス、歴史あるスタジアムが住宅街のすぐ裏にある。 シカゴはMLBの旅を始めた都市で友人家族と行ったので想い出深い。映画『フィールドオブドリームズ』とは関係ないけど、外野フェンスが好きだ。 近代建築の歴史を味わいたい人にはシカゴという街もおすすめ。ただ市の南側はあまり治安が良くない。

Truist Park

この球場は外野後方にレストランや商業施設が広がっていることに加え、大人から子供まで楽しめる施設が豊富。ファンがチャンスの時に斧を振り落とす動作をして応援して、まさしく体験型のスタジアムと言える。 観戦後に訪れたアジア系フードコートも雰囲気がよかった。

Great American ball park

シンシナティレッズの本拠地にはレッズが最古の球団の系譜を弾く球団であることもあり、ネグロリーグや女子プロ野球球団の歴史も展示されている。 球場自体は比較的新しいが歴史を味わえる点を高評価したい。MLBの歴史に興味がある人には一度訪れてもらいたい。

loanDepot Park

WBCの準々決勝以降の試合は忘れられず。準決勝までしかホテルを取っていなかったけど、流れとして決勝まで見た。マイアミという土地柄、中南米の観客が多く、ベネズエラ対アメリカはベネズエラファンの声援が勝っていた。 どの試合も白熱した試合展開になったことは言うに及ばず。ホームラン、走塁が要所要所で大事になった。

Dodger Stadium

ちょうどダルビッシュ選手が3,000奪三振を記録した試合に行った。 大谷選手はまだドジャースにいなかったけれど、ドジャースは十分に強力打線でそれを打ち取っていく切れ味の鋭い投球に痺れた。 この球場はスタンドの黄色と青のコントラストと、後ろに山を抱えている風景が思い出に残る。

Citizens Bank Park

最後に残したフィラデルフィア。これはフルマラソンを走ったという完全に個人的な思い入れからだけれど、やはり思い出に残る球場として選出したい。外野席で観たからか選手と観客との距離が近く印象に残る。2階建てのブルペンや外野フェンスがかなり低く作られていることなど、特徴的な作りにも注目。

これだけ、色々な球場で野球を観に行くと必然的に野球を観る眼というのが養われてきたのではないかと勝手ながら感じている。その点もいくつか触れたい。

内野の送球練習

強いチームはイニング間の内野の送球練習においてもしっかりした球を投げている。特に目が行くのはショートの肩の強さやセカンドの機敏さだけれど、捕球が巧いファーストがいるチームも強い。印象に残っているのはブレーブスで、ホームの試合ではファーストがゴロを投げるのではなくノーバウンドで各内野手とキャッチボールをしていた。あれはどのような意味があるのか、送球が重要ということを認識しているからなのか、少し謎は残っている。

ホームラン

ホームランは野球の華。この言葉の意味を噛み締めている。MLBでは年間200本を超えるホームランを打つチームもあり、今の日本の野球との違いを感じる。当たり前なことなのだけれど、ホームランを打つと必然的に1点が入る。よく「流れが野球を決める」というけれど、僕の印象ではホームランは突如出る。それにいい打球が必ずホームランになるとは限らない。ライナーやゴロの打球のほうがスピードや打撃技術が優れているケースもある。ただ、フェアゾーンの外野フェンスを越えれば有無を言わさずホームランなのだ。少し詰まったり、高く上がりすぎたとしてもフェンスを越えればいい。こんな当たり前のことに気づかされる。なにも強い打球、完璧な打球を打たなくてもいいのだ。1イニングに複数ヒットや四球を選んでも点が入らないことがあることとの対比において、フェンスを越えればホームランで点が入ることの破壊力や強さを感じている。

継投

MLBは年間162試合あり、先発投手は中4-5日でローテーションを回るのでだいたい100球前後で交代する。そこからは継投のタイミングが重要になってくる。これはどの国の野球でも今は同じだろう。162試合トータルで勝ち負けを考える必要はあるだろうけれど、強いチームは継投のタイミングが早いように感じる。ブルペンに自信を持っているからか、厚い選手層がなせる業なのか。先発でも中継ぎでも少し球が浮いてきているなと疲れが見えてきたときに、我慢して投げさせるのも首脳陣としての胆力だろうが、MLBの打者は甘い球を逃してはくれず、得てしてホームランも出やすいので大量点につながりかねない。継投の決断力が勝負を分けている。

僕はこれからも野球を観るという行為から離れられないし、MLBの旅を終えたからこそより一層深く野球を味わいたいと思う。

最後に、もう一つ思うのは、MLBの各チームはそれぞれ地域色が強いということだ。

自分の住む地域の球団を愛することが、一つの幸せの形だとすら思う。

ひいきのチームのユニフォームを着てスタジアムまでの道に繰り出そう。

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