エッセイ

Jacquieline Kennedy Onnassis Reservoir

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Central parkの86thから96thまでまたがっている池の名を知っている人はあまりいない。

この池が歩くのにも、走るのにもちょうどよい感じで好きである。

Central Parkで走るということを2週間に1回くらいやっているけれど、別に走らなくてもよいと気づいたのは、友人との会話によるものが大きい。

先日、この池をぶらぶらと歩いていたら、ものすごいスピードで走り抜けるアジア人がいて、どこかで見たことがある顔だと思ったら、中距離の日本記録保持者である田中希実選手だった。そのスピードと言ったら、けた違いで、細かいピッチで走り抜ける姿は、カモシカのような動物を連想してしまった。

走っているときには見えなかった景色が、歩いていると見える。走っていると立ち止まることはなんとなく「悪」のような気がして、なかなか立ち止まれないけれど、歩いていると、ちょっとここで一呼吸着こうという感じで、立ち止まれる。

NYは刺激に溢れていて、あらゆるものがあるように感じる。でも、毎日ブロードウェイや美術館、Jazzに行くわけにはいかないし、おいしいレストランも、たまに食べることができるからこそ、ありがたみがある。

僕の場合には、NYを離れる日がいつか必ず来る。それもそんなに遠いわけではない。その時に、何をしておけばよかったなと思うだろうか。そんなことを歩きながら考える。

もしかしたら、こんなに近くにあるCentral Parkに、走るためにしか行かなかったとしたら、それを後悔するのではないかなと思い始めた。

別に歩いたっていい。歩いて季節が移ろっていくのを感じたい。

いつかNYを離れて、日本に帰ったら、何年かに1回はNYに来たいと思うものだろうか。そのときに、きっとCentral Parkに来たくなって、見える景色がそんなには変わっていないことに安心したりするだろうか。そんな日が来る気もしている。そのために歩こう。

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