エッセイ

Bill Cunningham New York

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この間、ふとした話の展開で好きな映画の話になった。

そこまで映画を観る方ではないのだけれど、その時、口から出たのが

Bill Cuningham New Yorkだった。

ファッション業界、街のふとしたスナップ写真をNew York Timesで撮っていた伝説的な写真家のドキュメンタリー映画。New Yorkに行ったことがある人、住んだことがある人にはぜひ観てもらいたい。

日本で上映されたのは2013年で、僕はこの映画を東京のどこだか忘れてしまったけれど映画館に観に行った。

その頃、働き始めてしばらく経って、自分の立ち位置や働き方に迷っていたと思う。

Bill Cunninghamという人が写すNew Yorkという街は、そこで生きる人たち、そのものだった。

そしてこの映画は生き方そのものを教えてくれる。

2013年の僕がどう感じたか、少し記憶が曖昧だけれど。

口にしたことをきっかけに、今回、僕はこの映画をYoutubeで見直した。

Bilが自転車で行き来する街がNYのこのあたりだなと実感を持って感じることができる。それだけで幸せなことだと感じた。それは2013年の僕にはできなかったことだ。

New Yorkの社交界のパーティ、ファッションウィークの華やかな会場、そしてふとした街の瞬間。

今回、僕がハイライト的にこの場面がいいなと感じたのは、実はNew YorkでのBillではなく、Parisで語る場面。

Re-educate my eyes.

と語る場面が特に好きだ。

Billはお金や地位には関心がないけれど、Bill自身も周りの人も、この人が持っている眼を大事にしている。それはどうやって養われるのだろう。

いつもその現場を見続けるということなのかもしれない。

美しいものとそうではないもの、それに似たものを見分ける。

それは誰にでもできることではない。

そして12年ぶりくらいにこの映画を観て、Billなら今のNew Yorkをどう写すのだろうかと考える。

そして、自分の眼でこの街を、暮らす人を観なければと思い改める。

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