エッセイ

春の訪れ

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今年のNYの冬は寒かった。

四季があるから素晴らしいというけれど、それは四季の変わり目にこそ、感じることでもある。

寒い間は冬を楽しむ気にすらならず、春の訪れを待つ。

春になったなと感じた夕暮れ時。

Centaral Parkに行こうと、ふと思った。

歩いて5分くらいの距離だけれど、冬の間はその距離すら足を延ばそうと思わない。

僕はこれが春だなと思い知る。

Jacqueline Kennedy Onassis Reservoirを一周したい。

そう思ったら、やっぱり春だ。

最近、親しい友人に紹介されたPodcastを聴きながら、その貯水池を一周した。

Podcastから流れる音声には、愉快な人たちのエピソードが流れるので、池を歩いている最中に、思わず笑ってしまう。

NYの人たちは、Callをしたり音楽を聴いたりしながら池を走ったり、歩いたりしているので、それと似たようなものではある。

今年はできる限り、この池の周りを歩いたりしたい。1人でも2人でもいい。

そう思いながら帰路に就く。

下校時のスクールバスから出てくる女子高生たちが半袖姿だった。僕は少し薄手のコートを着ている。

夕暮れ時と呼ぶには程遠く、月がまだ明るい空に佇んでいる。

飛行機雲が一直線に走る空が、なんだか透き通って見える。

家に帰ったら、ブロッコリーとイカを炒めてパスタを作ろう。

特に何事もなかった日。こういう文章を書こうと思った。

それだけで、充分に豊かだと感じた。

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