僕らの世代くらいの日本人にとって、テレビで初めてメジャーリーグの試合を見たのは、野茂英雄が海を渡ってLos Angeles Dodgersで投げ始めてからだろう。
Dodger Stadiumは、そういう意味で日本人には馴染み深く、是非訪れてみたい場所だった。
野茂が投げている日は、常に晴れていたイメージがあってそれは西海岸に対して持つイメージとも重なる。
野茂は、ダイナミックなトルネード投法と鋭く落ちるフォークボールで三振の山を築いた。日本人が日本で野球をするのが当たり前の時代に、メジャーへの道を切り拓いたという意味で、本当にパイオニアだと思う。
そんな野茂が投げていたDodger stadiumへLAX付近のホテルからは30分程度で行くことができる。僕は今回、Griffith observatoryを見てから向かったので、Uberでレフトスタンド後方側に到着した。
1番上のフロアからはLAの山々を見ることができて、かなり雄大さを感じる。青と黄色でデザインされたシートは、色合いから西海岸のビーチを連想させて、明るい気持ちになれる。
球場の特徴というか座席の特徴として、番号が奇数の席は三塁側。偶数の席は一塁側に配置されている。例えば148という席を三塁側で探しても見つからない。これがどういうメリットがあるのか全くわからないのだけど。また、1階席から2階席に移動する場合に使う階段は結構狭い。
1962年に建てられている球場だからか、そういう古風な面もあるのだけれど、僕はこの球場がとても好きになった。球場を好きになる理由はもちろん、どのような都市にあって、ロケーションや球場自体の雰囲気がどうかといったことも、大事な要素になるけれど、訪れた試合自体がどのようなものだったかということにも、大きく依存する。
この日のパドレス側の先発はダルビッシュ。
36歳になった彼は円熟味とも呼べる投球をしていた。ダルビッシュが投げている試合を生で観るのはこれが初めて。試合前にビジターチームの先発ピッチャーはライト側でキャッチボールをするが、伸びのある球を軽々放っている姿に感激した。
試合は、パドレスが一発攻勢で中盤まで7点リード。ダルビッシュは要所で力を入れるさすがのピッチング。隣に座ったパドレスファンも喜んでいた。
He is a master in San Diego
Padres fan
変化球が得意であることを自他共に認めているため、変化球でかわすイメージもあるけれど、この日の試合ではやはり、力を入れた96マイルを超えるフォーシームが目立っていた。あのフォーシームがあって、カットボール、カーブが活きてくる。
ダルビッシュほどの投手になれば当たり前かもしれないが、フォーシームと変化球とで、全く投球フォームが変わらない。腕をしっかり振ったカーブが本当によく効いている。また、ランナーを出したり、ここが勝負どころと感じる場面では、単調にならずに、ブーイングが起ころうと、牽制をしたり、プレートを外したりリズムを自分の元に持ってこれる。
野茂が投げていた球場で、世代の最強ピッチャーであるダルビッシュが快投。今年のMLB観戦でも思い出に残る試合となった。