エッセイ

待つことを覚えたその先に

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元来、待つという行為が苦手で、レストランであれ、テーマパークであれ、スポーツ観戦であれ、待たない方に流れて行ってしまう。人と会う約束をするのに、遠い日付を設定して待つのも、もどかしい。

だけど、NYに来てから、待つということを覚え始めた。

小さな例なのだけれど、僕としては大きなことだったので、Drivers LicenceのUndelivable事件に触れたい。

Drivers Licenceの法定講習を受けるために必要となるLearner Permitは、かれこれ3か月くらい来なかった。アメリカの郵便局にあたるUPSから自宅に郵送する手続きになっているのだが、待てども待てども来ず。待っていることすら、忘れる日々もあるくらい、長い時間がかかってしまった。

何度か、DMVという運転免許を管轄している機関ともテキストでやり取りをしたが、彼らとしては、通常の手はずどおりに送っており、届かないのは、UPSのせいで、そちらに確認してもらいたいということになり、今度はUPSにも確認したが、原因がわからない。

業を煮やした僕は、送付先を会社の住所に変えるという、本当に単純な解決策を思いついた。

もっと早く思いついていればよかったのだけれど、この単純な解決策が、笑えるくらいあっけなく、功を奏して、会社にLearner Permitが届いた。

なんだか、感慨深かった。普通の人は、2週間で届くらしいのだが、僕はそれを3か月も待っていた。待つことだけではなく、解決をすることもできた自分が、少し誇らしかった。

今日は、法定講習にあたるいわゆる5時間講習を受講。

その後、少し用事があったので、Chelseaに足を伸ばした。

Manhattanの北のエリアに住んでいると、南のエリアに、不思議な羨望の気持ちを覚える。

あと、これは少し伝わらないかもしれないけれど、おしゃれなエリアが、同じMadisonやLex沿いにあると、この道をずっと北に行けば、うちの近くなのだと、嬉しい気持ちにもなる。そういう意味で、一直線に道がつながっている街というのは、美しい。

Chelseaは、僕の中ではやはりSleep no moreの印象が強く、あれはいったい何だったのだろうかと今でも、思い返してしまう。

エリア全体として、ギャラリーが多く、Artの発信地としても有名だ。ただ、パンデミックの影響を受けたせいか、閉まっているギャラリーや、空いているリテール店が多い。

Chelseaのエリアに、Manhattanの中でも、有名なFlatiron Buildingがある。

近代建築家Daniel Burnhamが作り上げたこの建物は、Y字の道路を好む僕としては、一度訪れたかった物件。残念ながら、坂になっているY字路ではないのが、坂好きとしては玉に瑕。それはまぁいい。

Chelsea marketあたりから散策を始めて、Flatiron Buildingに差し掛かった時に、驚いた。

外壁の工事か何かのために、一部が覆われている。きれいなFlatironの外観を期待していた僕としては、かなりのショックを受けた。

Flatiron Building

夏の盛りを過ぎたとはいえ、NYはまだ暑い。かなりの距離をこのビルめがけて、歩いてきたのに、こういう結果になるとは。そういうことなら、もっと早く言ってほしい。

悔しいので、隣のHarry Potterショップに入ってみた。僕は残念ながらHarryPotterの世界に何も興味はないのだが、Flatironよりも、多くの人が興味を持っていることが良く分かった。あの商品開発力はすごい。

また、修繕工事が終わったら、Flatironに来てみよう。

いつまで待つことになるか、わからないが、こればかりは、待つしかない。それも奥ゆかしいではないか。

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