エッセイ

11月のWashington DC

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4年前になるけれど、東京からNYとDCに出張する機会があった。

僕にとっては初めての米国東海岸ということで高揚感があったのを覚えている。

ただ、祖父の容態が思わしくなく、出張に出る早朝、施設に向かい挨拶をして羽田に向かった。それが最期になった。

道中、祖父が亡くなったという連絡を受けていたので喪失感を抱えながら東海岸に旅立った。よい方にとらえれば、祖父が行って来いと背中を押してくれたような気もしていた。

余裕のあるスケジュールではなく、NYは1泊2日。しかも翌日早朝の便でDCに向かう日程。

NYでは自分がManhattanのどの辺りにいるのかという位置関係もわからぬままだった記憶がある。

NYに住むこともないだろうし、その頃は不動産の仕事とは離れていたのでそれでもいいかと思っていた。

DCに移ってからは少し余裕のある日程だったからか、外を歩いて観光も多少できた。

外の空気が東京よりも一段冷たく感じた。

出張自体は投資先の年次総会という感じで、特にビジネスを進めていく類のものではなかったので、それほどのプレッシャーもなく、スケジュールを消化した。海外出張にも少し慣れてきて、出張するだけでは何も進まないと思い始めていた時期でもあった。

4年経って、先週DC出張があった。PhoenixからDCに東京のメンバーと向かうものだった。

今年、米国で数多くの都市に行ったけれど、DCに行くとやはり4年前を思い出すからか、特別な感じがする。11月のDCが特別に感じるのはなんだか、お得感がある。

この4年間、DCでも政治の動乱やパンデミックの対応など色々なことがあった。それを経た街は不思議と静かにたたずんでいた。

実は今年2回目のDCで、前回は桜の時期だったから、華やいだ感覚を覚えたのだけれど、今回は紅葉の季節でそれはそれで美しい。North Virginirの方面に足を伸ばす機会があり、そこはデータセンターの集積地で軍事産業の起点ともなるDCの戦略的な都市構築の背景を知ることができた。

赴任前に、訪れたことのある米国の都市は限られたもので、そこに行くと、その時と比べて自分自身はどうなのかという自問自答に出くわす。

自問自答という言葉を使ったので、最後にこれに触れずにいられない。

Mr.Chirldrenの優しい歌の中に、自問自答のフレーズがあり、異なる都市を複数訪れて自問自答をすることになっても、結論としてはこういうことなのだと思いなおすのだ。

出口のない自問自答 何度繰り返しても やっぱり僕は僕でしかないから

Mr.Children 優しい歌
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