エッセイ

11月の風とプライマル。

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3年前の11月にNYに出張したことがある。

NY、DCを回る出張で、DCがメインだった。

NYに発つ日に、老人ホームにいる祖父を訪ねて、浜松町から羽田に向かうモノレールの中で、祖父が亡くなったと聞いた。

そういうわけもあって、JFKに降り立った時には、喪失感があったけれど、その中でも、NYは晴れていたのを覚えている。

JFKからManhattanの摩天楼を観た時に、これがManhattanかと思ったけれど、正直そこまでの感動はなかった。初めて見ると感動するものだろうか。その時はまだNYに駐在するとは知らなかった。

11月の中旬で、寒かった。むしろ帰りたかったという想いが強かったかもしれない。その日の午後から、Madison Square Parkの北側でミーティングがあったけど、それも、NY出張を作るためのミーティング感があって、気持ちが乗らなかった。

その前に、友人にその近くで会って、寒さの中、お腹が大きいのに来てくれたことを、娘さんが二人いる同僚の先輩と嬉しくも心配に思ったことのほうが思い出に残っている。

Manhattanの地理、と言っても北から南、東から西といった簡単なものだけれど、とにかく、それを全く分かっていなかったから、結構、Madisonまで来るには距離があったのになと今になって思う。

僕は、日本の11月の頃の、寒くなり始める季節の感覚が好きだ。ベッドから出られなくなるあの感じ。きっと今がその時期だろう。

NYの11月はそこまで好きではない。寒くなり始める感覚というのがあまりない。

急に寒くなる。不思議なのだけれど、待ちゆく人たちは、僕よりもはるかに前に、寒くなる準備をしていましたよと言うように、一段階、着こんだ服を着て街にあわられる。

3年前の11月にNYに初めて来たとき、結構寒かった。それでも今年は寒くないと友人は言っていたように記憶している。

少し話は変わって、11月は文化祭の季節だ。

中3の文化祭の日に、プライマル。を聴いたのをふと思い出すきっかけがあって、

それを歌った人と、NYで本当に久しぶりに会った。今回はMadisonを通り越して、Union Squareまで行った。

20年近い月日が流れているがゆえに、東京では会えなかったかもしれないと思う。

プライマル以外も歌ったらしいけれど、それを二人とも思い出せなかった。

誰かと1対1で会うたびに、何かを伝えられていて、こちらも何か伝えられればいいと思うけれど、意図的に言葉を発すれば、陳腐なものに終わり、それでも、なお、何かは伝えられればいいと思う。

今回も伝わってくるものは大きかった。

11月は風が変わって、それは中学の文化祭の時から変わらない。

僕らは何も変わらないとは言えない。ただ、場所を変えても、街のせいたけではない風の強さを感じた。

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