エッセイ

遠くまで行きたければ

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試す、試みる、運転と書いて試運転。

アメリカに来て、免許は取ったもののあまり率先してやってこなかった行為が運転だ。

Manhattan内では車はほとんど要らないと言っていいし、1人で旅に出るときにもUberかLyftで済ませてきた。

ただ、この間、出張でSan Diegoに来た人がいたのだけれど、その人たちがDCに向かうフライトが飛ばなかったと言う。その人はLAまで車で運転して、そこからDCへのフライトに乗った。アメリカに住んだことがある人だからこその機転の利かせ方なのだけれど、その立場におかれたときに、果たして車でLAに行くという選択肢が取れるだろうかと思いを馳せた。

やはり、試運転が必要だ。

こう思うに至る本当の理由は、実は他にあって、今月下旬にMiamiに行く予定なのだけれど、そこではどうやら車を運転することになりそうなのだ。

そういうわけで、やはり試運転をしよう。

と言っても、NYでする気にならず、ちょうどNashvilleに行く機会があったので、そこで同僚を連れて運転することにした。

こう書くと、何か運転がとてつもなく下手なのかという疑念を抱かれるかもしれないが、そうでもないと勝手に思っている。

日本では車があった時には仲間を連れてゴルフ場に行っていたし、軽自動車からアルファードまで幅広い車を運転したことがあり、幸いにも事故の経験はない。

ただ、運転や車は浪漫があるとわかりながらも、やはりリスクもあると思ってはいる。

あと、車でどこかに行くには、何人かいたほうがいい。遠くまで行きたければみんなで行けということだ。

左ハンドルは、こなせるのだけれど、やはり左折優先というのがどうも慣れない。

Nashvilleでの試運転も、結論から言うと事なきを得たのだけれど、一つ笑い話的なアクシデントがあった。

スマートキー方式ではなく、アナログ方式のレンタカーで、ランチに行くのに車を駐車場に停めたまではよかったのだけれど、いざ、ランチから戻り、出発しようとしたら発車できない。

車の後ろ方向に向かって少し下り傾斜になっている駐車場で、ずるずると後ろに滑り落ちていく。

運が悪いことに、バスが来て、ずっと僕の車が出ていくのを待っている。NYだったらかなりクラクションを鳴らされるところだが、さすがはNashville。バスの運転手が下りてきて、大丈夫かと声をかけてくれる。

挙句には、ずるずると下がっていく車を同僚とともに後ろから押し上げてくれた。

人に車を押される経験は初めてだった。

しばらくして、助手席の同僚が冷静になって、アナログキーの回し方が緩いのではと気づいた。思いっきり、深く回してもらうとハンドルが軽くなって発車できた。

思えば、アナログキーの車を久しく乗っていなかった。

やはり、一人で運転しなくてよかったと思い知らされた。

そんな試運転。Nashvilleがまた好きになった。

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